▼Fairplay 20040701付掲載
各国の様子 総まとめ

日本:対応はできている、しかし確実とはいえない

日本の船主はよくISPSへの対応をしているのだが、証書発給のスピードに不安が残る。

「世界のこんなに多くの船が証書を取得するには全然時間が足りない」東京在住、海事保安コンサルタントの井川哲雄取締役は言う。

井川氏は、日本の船主は証書を取得するための準備を概ね良くやっている のだが、ISPSの真の目的、海運における「セキュリティー文化」を育てることに関してはまだまだだと言う。

「概してセキュリティへの認識や理解は低い」と井川氏はFairplayに語った。 毎週、多数の運航船が米国に寄港する日本船主たちは「(船が拘留されることによる)混乱に身構えている」と彼は付け加えた。


アメリカ:貿易が停滞することはない

アメリカでは、USCGの司令官、Admiral Thomas CollinsがISPSへの準備は完了していると発表している。

アメリカは港も船もISPSとMTSAの要件をすでに満たしており、USCGは今やその目を米国にやって来る外国船に向けていると彼は言う。

6月25日現在、USCGは9200隻のアメリカ籍船と3500の港湾施設に証書を発給し、残りも7月1日までには準備が完了する。 現在の問題は非アメリカ籍船の寄港である。アメリカの港には、年に約8000隻の外国船が約50000回寄港する。USCGはその一隻一隻をチェックすることにしている。ISSCを確認し、SSPや保安職務について、担当者達を質問攻めにあわせる。

Collinsは、新しい規則によって貿易が停滞する理由などないと強く主張する。貿易相手国、港湾、ターミナル、船主たちと2年にわたる長期の話し合いが持たれてきた。「皆、新しいルールを知っているよ」と彼は説明する。 とはいうものの、USCGは新しいルールを“積極的”に執行すると強く主張している。

ISSCを持っていないということは“その船は追い返されるということだ”Collinsははっきりと断言した。 小さな港、特にカリブ海沿岸のセキュリティへの取り組みの遅さに不安が残るが、船主や船長に、港のセキュリティの弱さは本船次第でカバーできると彼は指摘した。

効率的なものという前提で、代替措置も認められるとCollinsは語った。