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ソマリア海賊裁判/商船三井のタンカー襲撃、被告に懲役12年求刑。海賊対処法で初
インド洋のオマーン沖で商船三井のタンカーが2011年3月にソマリア人に襲撃を受けた事件で、海賊対処法違反(運航支配未遂)罪に問われた裁判員裁判での論告求刑が東京地裁であった。検察側は被告2人に対し「海上貿易の要衝を脅かした罪は重い」として懲役12年を求刑。一方、弁護側は乗組員に被害がなかったこと、政情不安なソマリアの国情など情状酌量の余地があるとして懲役3年(執行猶予5年)を主張。裁判は同日結審、判決は2月1日午後3時の予定。自称ソマリア人の男2人はマハムッド・ウルグス・アデッセイ被告、アブデール・フセイン・アリ被告。09年7月に施行された海賊対処法で初の事件で、最高刑が無期懲役。裁判員裁判が採用されている。同法はソマリア沖やアデン湾など多発している海賊行為に対応するための法律。今回の事件は商船三井のアフラマックス型タンカー「グアナバラ」(バハマ船籍、106,000重量トン、07年に常石造船で竣工)が11年3月5日、現地時間の午後5時ごろオマーン東方沖で海上から小型ボートによる海賊による襲撃を受けた。検察によると、小型船から同船に乗り組んだ実行犯は今回の被告2人を含む4人。当時、乗船中の乗組員24人は機関部近くにある、船内の立てこもり施設「シタデル」に避難。米軍から解放されるまで約22時間拘束された。検察側は、24人の乗組員に当時の実被害はなかったものの、銃声や威嚇により、船長がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を受け退社、1等航海士が海上現場の勤務復帰まで1年余りかかったと心理的な被害の深刻さを指摘。襲撃された「グアナバラ」は当時の価格で約35億円、約10万トンの積み荷の原油は約46億円と経済的価値も高く、仮に実害が発生した場合の被害の重要性を指摘。その上で、海上貿易の要衝であるソマリア沖での襲撃事件に対し処罰を厳しくすることは国際社会に与える影響、海賊襲撃事件の再発防止の観点からも重要だとし、懲役12年を求刑。一方、弁護側は被告2人は海賊行為の初犯である点、海賊グループは操舵室を占拠したが、運航機能はシタデルに移転していたため、船舶の運航を実質支配できなかった点、さらにソマリア海賊という国際問題を個人の犯罪行為と関連づけることは分離すべきだと主張。被告2人の罪は懲役5年以下の「船舶侵入・損壊」に当たるとし、懲役3年(執行猶予5年)が相当だとした。外航海運の公海域や海外での事故、事件では従来、日本人乗組員が乗船しているか、または日本船籍でなければ、海賊行為を含め事件に対し政府や行政、司法が関与することが難しかった。海賊対処法は、国連海洋法条約に則して、国籍を問わず海賊行為を処罰し、効果的に対応するとしている。「グアナバラ」は船籍が海外、乗組員も全員外国人だったが、海賊対処法を適用、船舶の実質的所有者が邦船社だったことも日本関係船と位置付けられたとみられる。検察側によると、被害を受けた商船三井の損害は、タンカーの修繕費用、不稼働損失など約6800万円。弁護側は海賊行為の首謀者はソマリア国内の投資家や国外のリーダーだとして、被告2人の減刑を主張
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