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EPCグローバル/日欧間で海コン輸送実験へ。電子タグ実用化、通関・保安問題検証
米欧の小売り、物流、IT(情報技術)企業や日本郵船グループなどが加盟する電子タグの国際標準化機関EPCグローバルは、2008年度の実証実験で通関・セキュリティー上の問題を検証する方針。経済産業省が費用の一部を補助し、今年末から来年初めにも日本-欧州間で海上コンテナを使った輸送実験を実施。米国が12年までに輸入海上コンテナ貨物の全量検査を決めるなど世界的に保安対策への関心が高まっており、電子タグ実用化に向けて取り組みを強化。国際物流への電子タグの導入を目的とした実証実験は、経産省の支援を得てEPCグローバルの国際物流部会メンバーを中心に06年度から着手。フェーズIでは、米社が中国広東省の工場で委託生産した製品を香港経由で東京港に輸送、川崎市東扇島の倉庫に搬入するまでの経路で実験。海上コンテナとその中身のカートンに電池内蔵式アクティブタグと非内蔵式パッシブタグを付け、導入効果、読み取り精度や課題などを調べた。フェーズIIは航空輸送を対象に、今年1月下旬に上海-米ロサンゼルス間で行った。杭州にある日系家電メーカーの生産拠点からパソコン16台をパレット1個に搭載し、中継地の成田で直行便に積み替えて米国に空輸。その後、ロングビーチの倉庫まで持ち込んだ。パレットにはNTT、三井物産、郵船グループの物流技術会社MTIの3社が共同開発したアクティブ型シオタグ、個品は日立製作所のパッシブ型ひびきタグをそれぞれ装着。上海浦東、成田両国際空港で航空機に搭載する際はアクティブタグをスリープモード(休眠状態)に変更。実行管理を担当したMTIは「航空輸送でアクティブタグを使えることが証明できた」と述べ、休眠・起動の切り替え自動化を今後の課題に挙げた。昨年12月、航空輸送に先立ち海上コンテナ輸送の2回目の実証実験も、経産省の助成事業と別枠で自主的に試みた。対象ルートは、太平洋航路の大動脈である上海-ロサンゼルス間。世界最大の農機具メーカー、米ジョンディア向けKD(ノックダウン)部品の中国製タイヤ計6本を、2週間にわたり米中西部マディソン(ウィスコンシン州)まで運んだ。海上輸送を現代商船、両端の物流を米シュナイダー、フォワーディング業務をDHLがそれぞれ分担。海上コンテナには2種類のアクティブタグのほか、「輸送機器資産タグ」(CAT)と呼ぶ4種類のパッシブタグを初めて採用。電子タグは物流可視化を実現するが、高性能のアクティブタグは価格が高く、普及には価格低減が欠かせない。パッシブタグは割安だが、MTI関係者はこれまでの実験結果を踏まえ、「現状では海上コンテナの仕様に耐えられるパッシブタグはまだない」と話す。国際物流分野では米国主導で保安強化の動きが加速している。しかし、企業レベルで電子タグを導入する取り組みも実験の域を出ておらず、本格運用までに時間がかかる見通し。EPCグローバルに参加するMTIも、実験を通じて「セキュリティー上の問題点がいろいろと見えてきた。ビジネスモデルの構築はまだ先」と指摘
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