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IMO無線通信・捜索救助小委/LRITの運用コスト負担など検討
IMO(国際海事機関)の第11回無線通信・捜索救助小委員会(COMSAR11)において、長距離船舶識別通信システム(LRIT)システムの運用コスト負担、SART(レータートランスポンダー)の性能基準の改正、Eナビゲーション戦略について検討が行われた。LRITは船舶に搭載した機器から衛星通信システムを通じて自船の船名や位置を1日4回陸上のデータセンターに通報することで船舶の動静把握を行うシステム。2006年5月の海上安全委員会(MSC81)でLRITシステムを導入するSOLAS条約附属書Ⅴ改正が採択され、2008年1月1日に発効予定。そのため同システムで送信される情報を取り扱う陸上部分の構築方法、設置・維持・通信にかかるコストについて検討されている。今回は運用コスト負担について検討。システム全体で共通するコストのうち、国際データセンター、国際データ交換システムのコストは各締約国が要求したデータ量に応じて負担、LRITコーディネータのコストは全データセンターで按分して負担することが適切であることをMSCに報告することになった。また、LRITによる定期通報については、「国内データセンターなどを設立して自国籍船に通報させる締約国は自国籍船に関する定期的通報データをすべて買い取ること、自国籍船に対して国際データセンターに通報させる締約国はデータのよう級数に基づく経費のみを負担する」という方向性を確認。また、AIS技術を利用したAIS-SARTをSARTの代替品として導入するというノルウェー提案について、AIS-SARTの性能基準、導入の是非、導入に伴うSOLAS条約附属書改正案が引き続き検討された。日本は、レーダー搭載船よりAIS搭載船が少ないことから従来のSARTとAIS-SARTでは発見確率に違いがある可能性があり両者の同等性に疑義を表明したが、性能基準を別のものに分け機能の違いを明確化することでAIS-SARTが同等品として扱われることになった。MSC83で承認、2008年5月のMSC84で採択予定。また、日本提案のレーダー・トランスポンダーの偏波方式に円偏波方式を加える修正提案は同時に改正される予定。MSC81での英国、日本など7カ国共同提案から審議が開始されたEナビゲーション戦略は、コレスポンデンスグループの検討状況の報告を受け、意見交換が行われた。最新の電子技術の活用と既存設備などとの統合で総合的な航海支援システムの構築に向けた戦略を2008年末のMSC85までに取りまとめる予定。今回、日本は、検討に当たって航行安全の向上など戦略の実施で得られる便益を明らかにする必要があり、人への負担を軽減する人間工学的な視点も必要であることなどを指摘。「戦略検討において、常に技術革新に配慮すべきこと、具体的な通信技術にかかる検討は航行安全小委員会での戦略の具体化を待って行う」との結論を得た。
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